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今日の福音(2016年2月19日)

むしろ積極的に

マタイによる福音書5章38-48節












イエスの教えておられた当時のユダヤでは、「骨折には骨折を、目には目を、歯には歯をもって人に与えたと同じ傷害を受けねばならない。」(レビ記24章20節)と定められていました。それは、トラブルや争いがエスカレートしないで最小限に解決するための「同害報復法」と呼ばれるものです。しかしイエスは、その規定のある世界にあって、当時の人々が日常感覚で分かりやすい例えで、その規定を超える「愛」を教えました。イエスの語った例えは4つあります。聖書に記されている4つの例えを当時の日常感覚で表現するとこうなります。「あなたは侮辱されて右の頬をたたかれても我慢しておさまることにとどまるのではなく、むしろ反対の頬も向けて、侮辱や暴力は何の意味もないことを積極的に相手に赦しをもって示しなさい。あなたの下着を取ろうとするものには、むしろ積極的に、夜露を防ぐ上着をも取らせなさい。ローマ軍の命令で荷物を持たされ千歩の距離を歩かされるなら、むしろ積極的に2千歩の距離まで運んでやりなさい。だれかがあなたに借金を求めたら、あたり前のように利息を付けて貸すのではなく、その人の困窮に背を向けるのではなくて、むしろ無利息で積極的にお金を貸しなさい。」
 また当時、自分の助けとなる身近な隣人や味方を愛することはしても、敵は憎まれても当然と考えられていました。しかしイエスは、「自分を愛してくれる人や自分の同胞である兄弟のために、愛したり挨拶をするところに留まって収まっているのではなく、むしろ積極的に敵や自分を迫害する者のために、祈り、挨拶し、愛しなさい。」と教えます。
 解決し収まる、というところに留まっているのではなく、「むしろ積極的に・・・」と、悪を終わらせて和解を願い、そして喜びの共生へと進み広がること。これがイエスの教える「愛」の姿です。