今日の福音(2012年7月15日)
「無」になることを恐れず
(マルコによる福音書6章7~13節)
本日の福音書では、イエスが、弟子達を宣教の働きに派遣するにあたっての心構えを語ったことが記されています。そこには、「最小限の備えをもつほどにすべてを神に委ね、できるかぎりの力を尽くして宣教に取り組む」という姿勢が貫かれています。
宣教は、イエスの姿そのものである、<他者に仕えていくこと>を証しする行動です。他者に仕えようとして宣教に派遣される者は、他者のために「無」になることを恐れてはなりません。「無」からこの恵みに満ちた世界である「有」を創造された神は、宣教に派遣される者の「無」を通して神の恵みを現されるのです。宣教の原点は、イエスの姿に集約されています。「キリストは、神の身分でありながら、神と等しい者であることに固執しようとは思わず、かえって自分を無にして、僕の身分になり、人間と同じ者になられました。人間の姿で現れ、へりくだって、死に至るまで、それも十字架の死に至るまで従順でした。」と、聖書のフィリピ書2章6節以下に記されています。
他者のために己を「無」にして仕えていくこと。そこに神の力、聖霊の働きが現れ、恵みと喜びの世界が深まっていくのです。これが宣教です。