今日の福音(2012年5月20日)
イエスの三つの祈り
(ヨハネによる福音書17章11c~19節)
イエスは十字架につけられるために捕らえられる前に、弟子たちのために神に祈りました。イエスが復活し、そして天に昇って行かれた後に、聖霊が弟子たちに注がれる、聖霊降臨の出来事が起こりましたが、その聖霊降臨の出来事を記念し、祝う、「聖霊降臨日(ペンテコステ)」の前の日曜日である本日、私たちは福音書で、かつてイエスが弟子たちのために祈った祈りを示されます。
本日の福音書を通して示される、弟子たちのためのイエスの祈りには、三つの祈りが含まれています。はじめに、「弟子たちが一つとなるために守ってください」(11c節)とイエスは神に祈ります。不和や不一致の姿にあって、イエスを通して示された神の愛を宣べ伝えることはできません。弟子たちは一致していなければならなかったのです。その一致の力を、イエスは神に祈り願います。イエスはまた、「弟子たちを悪い者から守ってください」(15節)と神に祈ります。イエスは弟子たちに対して、悪に満ちているこの世を捨てなさい、とは決して願っておられません。神のみ守りによって弟子たちがこの世で困難に立ち向かい、困難を乗り越えて喜びのうちに生きぬいていくことを願っておられるのです。三つめに、イエスは、「弟子たちを真理によって聖なる者としてください」(17節)と神に祈ります。「聖なる」こととは、もともとの意味は、区別され、力がある、ということです。弟子たちは、イエスを通して示された神の愛を宣べ伝えるために、この世の者とははっきりと区別され、神の愛を宣べ伝えるために、特別の力が備わっていなければなりませんでした。その区別と力が、しっかりと弟子たちのものとなるために、イエスは、弟子たちが真理によって聖なる者となるように、神に祈りました。弟子たちが、「一つとなる」、「悪から守られる」、「聖なる者となる」ために、イエスはこの三つの祈りを、神に祈りました。
そしてイエスが祈られたこの三つの祈りの願いが、弟子たちに実現するために、神は弟子たちに聖霊を注がれたのです。そしてこの同じ聖霊が、私たちにも、そして私たちの教会にも、注がれるのです。聖霊は、弟子たちと同じように、私たちがこの世で生きていく力、神の愛を宣べ伝えていく力なのです。